2001年5月23日(水)〜27(日) ロスアンジェルス・レドンドビーチ

GROOVIN' HIGH JAZZ FESTIVAL第2日目 2001/5月25日(木)-No.2

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1 金丸克彦レポート(2)
アレン・イーガー二つ目のコンサートは、ドン・ランファーとの2テナーがフロントです。

THE 52ND STREET ALL-STARS

サー・チャールズのピアノにレナード・ガスキンのベース、地元のドラムがサポートします。前日のパネル・ディスカッションで、サー・チャールズが「レナード・ガスキン、スタン・レヴィ、そして私が43年当時のモンローズ・アップタウンでの、バードのリズム・セクションだった。その3人が58年後に一つの場所に揃うのは、奇跡に近い」と自慢していましたが、本当そうですね。

2 27年生まれのイーガー、28年生まれのランファーと年齢は1歳しか違いませんが、このコンサートの前のパネル・ディスカッションでランファーが、「48年シカゴの大学をドロップアウトして、ニューヨークに来た時、既にアレンは1番のビバップ・テナーだった。」と同じパネラーの席に座っていたアレン・イーガーに向ける視線は、我々同様、まるでアイドルを見るかの様でした。

お馴染みの2曲から始まり、(ゴメンナサイ、曲目失念、2曲目は、"All The Things You are"でした。)イーガー何とか無難にこなし、調子が出てくるかなと思ったら3曲目に、いきなりサー・チャールズが、"Body And Soul" を弾き始めイーガーがテーマを吹きますが、何とキーを間違えます。ピアノとベース、驚いた様に顔を見合わせますが、コードを一つ弾いて違和感を感じさせずに転調するのは、さすがプロです。この出足が影響したのか前日のようなマジックは起こりませんでした。残念ながらここからイーガー、段々散漫なプレーになりソロも短かったり、全然プレイしなくなったりします。
3 反面、ランファーのプレイ、ディスカッションでの声もか細く、演奏も心配していたのですが、音もフルに出て、この人も年齢を考えると脅威としか云えない、立派な演奏です。辻バードさんも感心されてました。

しかし今回もマジックは起こりました。ランファーが除隊して最初に聞いたビバップがこれだと、レスターの "DB Blues" を吹き、ソロをイーガーに渡します。最初のコーラス、50年代レスターを彷彿させる音色で、弱々しく吹きますが、フレーズ自体は30年代レスターのしなやかさを保っています。そして2コーラス目、この"DB Blues" を吹きこんだ頃の、40年代中期レスターの音色に変えて、イーガーとしても一番太い音色で、さらに歌い上げます。この展開とフレーズ、やはりアレン・イーガー、この1曲だけでも並みのテナーでない事を証明してくれました。
4 現役と既に引退した人の対比、アレン・イーガー自身にとってはかなり残酷な体験だったかも知れません。しかしここにいた聴衆は、吹く前からアレン・イーガーがトップフォームで吹いてくれるとは、思っていなかったでしょう。聴衆は、彼がテナーを持つ姿を見、そしてそのアドリブフレーズから、ビバップ時代のアレン・イーガーを思い出させる瞬間があるだけで、十分満足したのではないでしょうか。私も前日の"Body And Soul"とこの"DB Blues"を聴けたでけで、十分幸せになりました。

今回、色々なプレイヤーのサインをもらおうと最初は思っていました。しかし彼らの元気なプレイを聴くうち、今回でなくとも、その内世界のどこかで、また聞けると思うとサインを貰うこともそう重要ではなくなりました。このアレン・イーガーだけ、50年過ぎてもその価値の衰えない素晴らしいソロを残してくれたことに、感謝の言葉を伝え、パスポートにサインをもらいました。

  
    金丸克彦
   日本チャーリー・パーカー協会